この記事では伏見稲荷大社の権殿についてくわしくご紹介します。
京都の伏見稲荷大社は全国に30,000社以上あると言われる稲荷神社の総本宮で、和銅年間(708年〜715年)に創建された長い歴史のある神社です。
本殿には主祭神・宇迦之御魂大神をはじめ五柱の神様が祀られています。
その本殿のすぐ近く、北東の位置に建てられているのが権殿です。
権殿とは? 歴史・言い伝え
権殿は本殿などの社殿を修理する時に一時的に御神体をお移しするための社です。現在の建物は江戸時代に建てられており、国の重要文化財に指定されています。

権殿の「権」という漢字には「仮の」という意味があります。(仏様がこの世に仮の姿であらわれることを「権化」と言いますよね! )
権殿は(本殿などの社殿を修理する期間)一時的に御神体をお移しする「仮の社殿」ということなんですね。
『明応遷宮記録』(1499年・明応8年)に権殿についての記載があるため、1499年以前には伏見稲荷大社の境内に存在したようです。
ただし「権殿」という名前ではなく「若宮」と記載されています。
『都名所図会』(1780年・安永9年刊行)や『花洛名勝図会』(1864年・元治元年刊行)の伏見稲荷大社の境内を描いた絵にも「若宮」として現在と同じ本殿の北東に描かれています。
権殿|伏見稲荷大社公式「観光音声ガイド」
権殿は伏見稲荷大社公式の「観光音声ガイド」でも紹介されています。(「観光音声ガイド」は日本語・英語・中国語・韓国語の4ヶ国語対応です。)
権殿の前に設置された案内板のQRコードを読み込むとアクセスすることができます。

権殿の場所・行き方は? 伏見稲荷大社の本殿からはどれぐらい?
本殿の北東にある建物が権殿です。本殿(内拝殿)でお参りをしてから立ち寄ってみましょう。
本殿(内拝殿)でお参りをしたあと、向かって左側の参道を進むと目の前にある建物が権殿です。

権殿の隣に見えている大きな鳥居をくぐり、階段を上がると参道は有名な千本鳥居へと続いていきます。
社務所前の参道からも権殿が見えます。

権殿の見どころ
本殿よりも規模は小さいものの、本殿と同じ五間社流造で建てられています。一時的にとは言え、本殿の修理時には御神体がお移しされる重要な建物です。

側面から見ると屋根が前面に向かって長く曲線状に伸びている流造となっているのがわかりますね。

また権殿の裏側を見てみると、柱間が5つになっているのがわかりやすいです。

伏見稲荷大社の本殿には五柱の神様がお祀りされているので、当然、御神体をお移しする時には権殿にも5つの柱間が必要になります。
本殿に祀られている御祭神
- 宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)
- 佐田彦大神(さたひこのおおかみ)
- 大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
- 田中大神(たなかのおおかみ)
- 四大神(しのおおかみ)
夜の権殿
伏見稲荷大社・稲荷山は24時間参拝することができます。夜の伏見稲荷大社には昼間とはまったく異なる独特の雰囲気があり、あえて夜に訪れる人も多いです。本殿のすぐ近くにある権殿は夜間でも訪れやすく、朱色の社殿が幻想的に照らされており見応えがあります。

本殿のすぐ近くにある権殿は夜間でも訪れやすい社殿です。

権殿には6つの灯篭が吊るされており、社殿の正面は明るく照らされています。

明かりに照らされ幻想的な朱色の社殿は夜ならでは。

権殿の概要
権殿の概要です。
住所 |
〒612-0805 京都府京都市伏見区深草開土口町68 |
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ご祭神 |
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例祭日 |
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格式 |
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創建・建立 |
寛永12年(1635年・江戸時代初期)建立 |
ご利益 |
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拝観時間 |
24時間参拝可能 |
拝観料 |
無料 |
権殿の駒札・立て札・由緒書き

権殿(重要文化財)
- 構造 五間社流造 檜皮葺
- 建立 寛永十二年(一六三五)
この社殿は、『明応遷宮記録』(一四九九)によると『御殿ノ北ニハ仮殿 若宮ト云也是ハ遷殿トテ本社造営ノ時、此宮へ御ウツリ也 為其仮殿ト申ス也』とあり、この頃には建立されていたようである。
現在の建物は、寛永十二年(一六三五)に再興されたもので、昭和三十四年(一九五九)に東北側に移築された。
権殿|フォトギャラリー




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- 2021年3月: 公開