この記事では伏見稲荷大社の摂社・大八嶋社についてくわしくご紹介します。
全国に約30,000社以上あると言われる稲荷神社の総本宮、伏見稲荷大社。
伏見稲荷大社の境内や稲荷山にはいくつもの神蹟や摂社、末社がありますが、その中でも大八嶋社は少し変わった特徴のある社なんです。
大八嶋社とは? 歴史・言い伝え
八島ヶ池(おさんば池)のほとりにある大八嶋社にはなんと社殿がありません。社殿が無い代わりに朱色の玉垣で囲まれた場所に神様が鎮まっていると伝えられています。
社殿はありませんが、朱色の玉垣でぐるっと囲われている部分には立ち入ることはできず、神聖な場所とされています。この山林そのものがご神体なんですね。
そもそも「大八嶋(大八島・大八洲)」というのは『古事記』や『日本書紀』に登場する伊邪那岐と伊邪那美による「国産み」の神話にまつわるもの。
大八島
- 淡道之穂之狭別島: 淡路島
- 伊予之二名島: 四国
- 隠伎之三子島: 隠岐島
- 筑紫島: 九州
- 伊伎島: 壱岐島
- 津島: 対馬
- 佐度島: 佐渡島
- 大倭豊秋津島: 本州
大八島は日本列島のことをあらわしているので、大八嶋社に社殿がなく、山林そのものがご神体というのにも通じますよね。
大八嶋社の場所・行き方は? 伏見稲荷大社の本殿からはどれぐらい?
大八嶋社は八島ヶ池のほとりにあります。本殿から稲荷山へ続く階段を上がり、千本鳥居とは逆のお産場稲荷の方へ進みます。本殿からは徒歩3分ほど。
本殿から大八嶋社へ行く場合は社務所の横にある階段を上がります。有名な千本鳥居や稲荷山へと続く階段です。
階段を上がると正面に玉山稲荷社があります。右へ行けば千本鳥居や奥社奉拝所があり、左へ行けば大八嶋社です。
ゆるやかな階段を下った右側に見える朱色の鳥居がある場所が大八嶋社です。本殿からここまでは徒歩3分ほどで到着します。
産場稲荷側からはこのようになっています。
参道沿いにあるものの社殿が無いので、大八嶋社のことを知らない観光客の多くは残念ながらこの神社に気づかずそのまま通り過ぎて行きます。
大八嶋社の見どころ
朱色の玉垣で囲われた神域はもちろん、大八嶋大神の石碑周辺にもどこか神妙な雰囲気が漂っています。
朱色の玉垣の横に「大八嶋大神」と書かれた大きな石碑があります。
石碑の左右には稲荷神社のシンボルとも言うべききつね像がありますね。
石碑の裏側にはこの石碑が建立された年月が刻まれていました。「明治廾七年五月建立」という文字が見えます。(「廾七年」は「27年」ですね。)
そして、興味深いのが石碑の裏側ですね。なんと大八嶋大神の石碑の台座部分にはこのような穴が空いていました。
なにか特別な意味があるのでしょうか。気になりますね。
大八嶋大神の石碑の裏側には八島ヶ池があります。八島ヶ池は「おさんば池」とも呼ばれ、地元の人にはこちらの名前の方がなじみがあります。
八島ヶ池の奥には神田があり、春から秋にかけてはこの神田で稲が育てられていますよ。
八島ヶ池の周辺は整備がされており、この大八嶋社から神田の方までぐるっと散策することができます。
夜の大八嶋社
24時間参拝できる伏見稲荷大社。昼間とはまったく異なる雰囲気に包まれる夜間にあえて参拝する人もいます。大八嶋社は本殿からも近く、夜間でも比較的参拝しやすい場所と言えるでしょう。
本殿から階段を上がり、玉山稲荷社の前を左へ曲がるとあかりがほとんどなく真っ暗です。
昼間は「大八嶋社」と書かれているのがわかる石碑も夜はあたりが暗くて文字は確認できませんね。
あざやかな朱色の玉垣も夜にはシルエットがわかるぐらいです。夜間に参拝される場合はくれぐれもお気をつけて。
大八嶋社の駒札・立て札・由緒書き
摂社 大八嶋社
御祭神 大八嶋大神
例祭日 十二月初申の日 午前十時この社は、古来社殿が無く、磐境を以て神鎮まります清浄の地とし、朱の玉垣で囲い禁足地としている。
旧社家秦氏の伝によれば、往古山上の荒神峰に祀られていた地主神を現在の地に鎮めたとされ、また旧社家荷田氏の伝では、祖神龍頭太に関わりのある所と伝えられている。
駒札に書かれている「山上の荒神峰」は四ツ辻から行くことができ、現在では京都市内を一望できる穴場的なスポットとして人気がありますよ。
大八嶋社の概要
住所 |
〒612-0805 京都府京都市伏見区深草開土口町 |
---|---|
ご祭神 |
大八嶋大神 |
例祭日 |
12月初申の日 10:00 |
格式 |
摂社 |
創建 |
不明 |
ご利益 |
不明 |
拝観時間 |
24時間参拝可能 |
拝観料 |
無料 |
大八嶋社|フォトギャラリー
この記事の主な更新履歴
この記事の情報は更新時点のものです。
- 2019年2月: 公開