この記事では伏見稲荷大社の楼門についてくわしくご紹介します。
伏見稲荷大社の楼門は正門にあたり、京都市内の神社の楼門の中でも一番古く、最大とされています。
楼門の写真は「伏見稲荷大社の写真」としてメディアに取り上げられることも多く、伏見稲荷大社の顔とも言えますね。
千本鳥居と同じく、たくさんの観光客がカメラを向ける伏見稲荷大社の境内の中でも人気のスポットです。
楼門とは? 歴史・言い伝え
楼門は伏見稲荷大社の正門にあたる、屋根付きの大きな門です。天下人・豊臣秀吉によって造営されたと伝えられており、南・北廻廊とともに国の重要文化財に指定されています。
伏見稲荷大社の楼門はあの天下人・豊臣秀吉によって造営されたと伝えられています。
豊臣秀吉は母である大政所(永正13年・1516年〜天正20年・1592年)の病気を治してくれたら一万石を寄進するとして、稲荷社(現在の伏見稲荷大社)に祈願したそうです。
その後、大政所が快復したことを喜んだ豊臣秀吉は(応仁の乱によって壊滅的な打撃を受けていた)稲荷社の修復を進め、1589年に楼門を建立しました。
実は伏見稲荷には楼門以外にも豊臣秀吉にゆかりのある場所があります。
例えば、伏見稲荷大社の前を南北に走っている道路は現在では直違橋通りと呼ばれていますが、もともとは豊臣秀吉が開いたとされる伏見街道です。
また、伏見稲荷大社の裏参道の手前にある「袮ざめ家」(うなぎのかば焼きやいなり寿司が美味しい老舗のお食事処)は豊臣秀吉の正室・ねね(北政所)の「ね」をもらって名付けられたと伝えられています。
楼門の場所・行き方は? 伏見稲荷大社の本殿まではどれぐらい?
楼門は伏見稲荷大社の表参道にあります。階段の上に建てられていることもあり、表参道の入り口からもはっきりと見える存在感のある建物です。楼門をくぐり、本殿へと向かいましょう。
JR奈良線・稲荷駅のすぐ目の前に大きな鳥居が建っており、ここが伏見稲荷大社の表参道の入り口です。
楼門は階段の上に建てられていることもあり、この場所からもはっきりと見ることができる存在感があります。(一番鳥居、二番鳥居の先に見える建物が楼門です。)
楼門の見どころ
楼門は伏見稲荷大社の顔とも言えます。重要文化財にも指定されている貴重な建物で、記念写真を撮るには絶好のスポットです。
楼門にはたくさんの見どころがあります。ひとつひとつご紹介しますね。
いろんな角度から楼門を見てみよう!
楼門には見る角度によってさまざまな表情を見せるおもしろさがあります。
楼門前の階段を上がると楼門をくぐることができます。目の前にある建物が外拝殿で、その先に内拝殿・本殿が続きます。
ふつうはそのまま本殿へ参拝しますが、時間があればぜひ楼門をいろんな角度から堪能してみてください。
こちらは左後方から振り返って見た楼門です。
この角度からの楼門は映画・『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(主演・福士蒼汰)にも登場しました。
真横(北側)から見るとこんなふうになっています。手前に見える北廻廊の屋根に比べて楼門の屋根の大きさが際立っていますね。
楼門の南側には荷田春満旧宅の敷地が隣接しているため、真横からしっかりと見ることができるのは北側のみです。
こちらは左前方から見た楼門です。京阪本線・伏見稲荷駅から裏参道を歩いて来るとこの角度の楼門が目に飛び込んで来ます。
こちらは楼門をくぐってから表参道を振り返って見た写真です。
楼門・二番鳥居・一番鳥居が一直線に並んでいるのがわかりますね。
南・北廻廊
伏見稲荷大社の南・北廻廊は江戸時代中期に建立されており、国の重要文化財に指定されています。
廻廊とは本来なにかを囲むように建てられた廊下ですが、伏見稲荷大社の廻廊は南北それぞれ五間(約9メートル)の直線の廊下となっています。
(通路の幅は)柱が2本の単廊の構造です。
楼門前のきつね像
伏見稲荷大社をはじめ稲荷神社の代名詞とも言うべききつね像も楼門前のものは特に大きく、見応えがあります。
きつね像をよく見ると、口にくわえているものが左右で異なることに気付きます。
左側のきつね像は「鍵」をくわえています。鍵は「霊徳を身につけようとする願望の象徴」とされています。
右側のきつね像は「宝玉」をくわえています。宝玉は「稲荷大神の霊徳の象徴」を意味しています。
随神
楼門の左右(きつね像の後ろあたり)には弓を持った像が安置されています。
これは随神と言って神様を守る存在として神社の門に置かれているんですね。お寺の門に安置される仁王像と同じ役割と言えるでしょう。
楼門と茅の輪
伏見稲荷大社では例年6月30日の「大祓式(夏越しの祓)」の前日に楼門に茅の輪が設置されます。(2021年は6月1日に設置されました。)
茅の輪とは茅を編んでつくられた大きな輪で、この輪をくぐることで疫病退散や半年間の穢れを取り除くと言い伝えられています。(「茅の輪くぐり」と言います。)
こちらは茅の輪越しに見た表参道です。
茅の輪の中に2つの鳥居がおさまり、ロゴマークのように見えますね!
本宮祭の日の楼門
伏見稲荷大社では毎年7月(7月土用入後初の日曜日または祝日)に本宮祭が行われます。
本宮祭ではあちらこちらに無数の提灯が飾られ、伏見稲荷大社の境内〜稲荷山は独特な雰囲気に包まれます。
もちろん楼門にも提灯が掲げられます。
門をくぐるところにはこんなに大きな提灯も飾られますよ。
また南・北廻廊には行灯画が飾られます。行灯画は日本画家や工芸家、近隣の小学校の生徒などたくさんの人によって描かれています。
夜の楼門|ライトアップの時間はいつからいつまで?
伏見稲荷大社・稲荷山は24時間参拝することができます。昼間とはまったく異なる独特の雰囲気がある夜の伏見稲荷大社にあえて訪れる人も多いです。特に楼門は夜でも訪れやすく見応えもあります。日没から21:00まではライトアップされています。
表参道の入り口からは夜でも楼門を確認することができます。
決して明るいわけではありませんが、両端の明かりが表参道をやさしく照らしてくれていますね。
楼門から表参道を見るとこんな感じです。表参道の入り口付近はJR奈良線・稲荷駅の横にあるデイリーヤマザキ 伏見稲荷大社前店(営業時間 6:00〜24:00)のおかげでかなり明るいですね。
楼門のライトアップ(日没〜21:00)
伏見稲荷大社の楼門は1年中ライトアップされています。
ライトアップの時間は日没から21:00までです。ライトアップ終了後も完全に明かりが消えてしまうわけではありません。
こちらはライトアップ中とライトアップ終了後の比較です。
ライトアップ中はきつね像の裏に設置された電灯で楼門の前面が照らされているんですね。
ぜひ幻想的なライトアップ中の楼門を訪れてみてください。
楼門の概要
楼門の概要です。
住所 |
〒612-0882 京都府京都市伏見区深草藪之内町68 |
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ご祭神 |
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例祭日 |
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格式 |
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創建・建立 |
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ご利益 |
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拝観時間 |
24時間参拝可能 |
拝観料 |
無料 |
楼門の駒札・立て札・由緒書き
楼門(重要文化財)
- 構造 入母屋造 檜皮葺
- 建立 天正十七年(一五八九)
南・北廻廊 二棟(重要文化財)
- 構造 切妻造 檜皮葺
- 建立 江戸時代中期
この建物は、天正十六年(一五八八)六月、豊臣秀吉が母大政所の病気平癒を祈願し、本復御礼の奉加米をもって、翌年再興されたのである。
その後、元禄七年(一六九四)、社頭拡張時に西方へ五間移築し、前方石段が造られ、その時それまで築地塀であった南・北廻廊が絵馬掛所として新造された。
昭和四十八年(一九七三)の楼門解体修理の際、再興当時の墨書が発見され、当社の中では本殿に次いで古い建築である。
楼門|フォトギャラリー
この記事の主な更新履歴
この記事の情報は更新時点のものです。
- 2021年3月: 公開